
2025年10月13日
第34回全日本高等学校女子サッカー選手権大会大阪府予選 決勝リーグ第2節
追手門学院高校 1-2 大阪学芸高校
得点者:[追手門]増井琴子(80分)、[大阪学芸]崎原奈美(41分)、丸山夢(80+2分)
大阪府高校総合体育大会(全日本高校女子サッカー選手権大阪府予選)は10月13日、J-Green堺で決勝リーグ第2節が行われた。第2試合では追手門学院と大阪学芸が対戦した。
4チームによる総当たり1回戦の決勝リーグ。上位2チームだけが全国大会への切符を手にできる。初戦で大阪学芸は大商学園に0-3で敗れ、追手門学院は大阪桐蔭に2-0で勝利した。続く第2節の第1試合では、その大商学園が大阪桐蔭を4-1で下し、勝ち点を6に伸ばす。この時点で、もし追手門学院が勝てば全国に出場する2チームが決まってしまう状況に。追い込まれた大阪学芸にとって、この試合はまさに”勝ち点3″が絶対に必要な一戦だった。
前半をスコアレスで折り返すと、後半が始まってすぐに試合が動いた。後半1分、MF越智想予(3年)がドリブルで右サイドを駆け上がると、最後はゴール前に詰めていたMF崎原奈美(3年)が右足で叩き込む。電光石火の一撃で、大阪学芸が先制する。
その後、終盤まで1点を守り続けていた大阪学芸だったが、後半40分、ペナルティーエリア内でドリブル突破を仕掛けた相手を倒してしまう。PKを決められ、試合は振り出しに戻った。
同点に追いつかれても、大阪学芸の選手たちは下を向かなかった。アディショナルタイムは2分。サイドからの攻撃はシュートまで持ち込んだものの、枠を捉えきれない。続くフリーキックも相手DFにはじき返された。それでも攻撃の手を緩めない。
後半40+2分、スペースに走り込んだFW温崎亜月(3年)が左足で折り返すと、逆サイドで拾った味方がふたたび中へ折り返す。その先にいたのはMF丸山夢(3年)。右足を振り抜き、ゴールネットが揺れると、彼女を中心に歓喜の輪が広がった。その直後にタイムアップの笛が鳴り、大阪学芸は2-1で勝利。待望の勝ち点3を手に入れた。
試合後、キャプテンのDF松川陽加里(3年)に話を聞いた。日テレ・東京ヴェルディメニーナ出身で、関東から大阪へ越境留学してきたセンターバックだ。キャプテンとしてチームを鼓舞しながら、最終ラインから正確なボールを供給し、攻撃の起点にもなる存在である。
この日はチームとして絶対に負けられない試合だったが、松川自身にも強い想いがあった。怪我の影響で第1節を欠場し、今シーズンは長期離脱も経験。その悔しさを胸に、この決勝リーグに臨んでいる。

——何から聞いていいのか迷うぐらい劇的なゲームでした。振り返ってどんなゲームでしたか?
大商学園戦は怪我で出られなくて、戦わずに負けてしまったような感じで悔しい思いをしました。だから今日は絶対に勝たなきゃいけないという気持ちでした。キャプテンとしてチームの士気を変えていきたい。そういう意気込みや熱気をみんなにも持ってもらいました。立ち上がりはその勢いのままに入れて、先制点も取れた。最後まで守り切ることはできなかったけど、最後まで全員で戦い抜けたと思います。
試合前の円陣でも「失点しても下を向かず、絶対に最後まで戦おう」と自分から声をかけました。追いつかれてもみんなが下を向かずに前を向いて、点を取りにいく姿勢を見せてくれた。だからこそ、最後の得点が生まれたと思います。
——80分に失点して、アディショナルタイムが2分あったとはいえ、絶対絶命の状況でした。下を向いてしまってもおかしくない状況だったと思いますけど、それでもみんな前を向けていたのですか?
まだ負けてない。まだ同点だから、最後まで戦おうって。みんなで前に行こうって、声をかけ合ってました。みんなで走って、守って、戦い抜けたと思います。
——前半は0-0でした。(勝つためには)まず点を取らなきゃいけないというところで、前半終わった時に焦りはなかったですか?
焦りはなかったです。焦るというより、もう行くしかない、点を取るしかないっていう気持ちでした。監督からも「前半のままだったら、同点で試合が終わるだけだぞ」と言われていたので、後半は流れを変えよう、どんどん前から行こうと。バックラインからもどんどん前にボールを配球して、前の選手も頑張って走ってくれて、そこから得点が生まれたと思います。
——後半、流れを変えるために意識したことは何かありますか?
守備では絶対に守りきること。攻撃ではとにかくシュートを打つことを意識しました。大阪学芸は前からずっと“点を決めきる”ところが課題でした。シュートを打たないと勝てないので、どんどん前にボールを送って、どんどんシュートを打つようにしました。
後ろから見ていて、前半は左右の展開が少なかったことが課題でした。だからもっとボールを動かして、サイドからのクロスを増やしていこうと。そこは大阪学芸の武器でもあるし、実際に得点もサイドからの仕掛けで生まれたと思います。
——シュートが課題というのは、具体的にどういうところですか?
いろんな試合を見ても、シュート本数が相手より全然多いのに負けてしまうとか、得点が入らない。相手の方がシュートが少ないのに決めきれる。最後の決めきるところが、これまでずっと課題として出ていました。
——今シーズン、キャプテンに就任して、ここまではいかがですか?
今シーズンに入ってからは、悔しい思いしかしていません。新人戦も準優勝で、そのあとサニックス杯も準優勝でした。インターハイにも出られなくて、悔しい思いがありました。個人的にも怪我をしてしまって、長いあいだチームに関われなかった時期があって、すごくしんどかったです(夏休みの期間など、3〜4ヶ月チームから離脱していた)。
——そういう時期も含めて、ここまでチームとして積み上げてきたものは?
チームとしては本当にしっかりしてきたと思います。みんなが周りを見て動いてくれる。自分がキャプテンだけど、副キャプテンの子たちもキャプテンみたいにチームを引っ張ってくれる。自分がキャプテンとして頼りない場面も多かったけど、副キャプテンたちがずっと支えてくれたおかげでここまで来られました。
周りのみんなが本当に支えてくれて、そのおかげで今こうしてピッチに立てていると思います。初戦で戦ってくれたセンターバックも副キャプテンで、自分が怪我のあいだずっとこのポジションを守って、戦ってくれていた。そのおかげで、今自分もこのピッチに立てていると思います(杉村はるみ・内田美愛・崎原奈美の3人が副キャプテンとして、松川キャプテンを支えた)。
——じゃあ、そういう思いとかも…
そうですね、背負って。今日は本当にその想いを第一にプレーしました。
——個人としては、大阪学芸に来ていかがですか?
1年生から試合に出ていたので、先輩たちの背中を見て学ぶことがたくさんありました。自分も後輩に示しをつけなきゃいけないと思ってきました。そういう中で、人としても成長できたと思います。キャプテンとしての自覚や、試合に出る責任、周りの思いを背負ってプレーすることも、身についてきたかなと思います。
——今までのキャプテンから学んだこと、自分がキャプテンやるにあたって生かしてることとかありますか?
試合では、最後まで戦うことです。一昨年も去年もキャプテンと一緒に試合に出て、最後まで全力で戦っている姿を見てきました。自分もキャプテンとして最後まで絶対に戦わなきゃいけないなと思いました。
——大商学園が勝ち点6ですが、追手門学院とは勝ち点3で並びました。次の試合(第3節)に向けては?
次の試合は、周りの結果じゃなくて、自分たちが勝って、得点を取って、自分たちの力で全国の切符をつかみたいです。今日は絶対に勝たなきゃいけない試合でしたけど、次は引き分けでも得失点差で行ける可能性はあります。でもやっぱり、自分たちが勝って、できるだけ多く得点を取って、絶対に全国に出たいと思います。