[インターハイ]ダイビングヘッドでつかんだ頂点 大商学園・佐藤ももサロワンウエキ

インターハイ 決勝(2025.8.2)

2025年8月2日
令和7年度 全国高等学校総合体育大会 決勝
常葉大橘 2(延長)3 大商学園
得点:[常葉大橘]小島あのん(27分)、竹川花音(39分)、[大商学園]佐藤ももサロワンウエキ(12分、69分)、花田ここな(86分)

常葉大橘との決勝は、苦しい時間帯でも一人ひとりが踏ん張り続けた試合だった。先制しながら一度は逆転された大商学園は、後半終了間際に追いつくと、延長後半4分に勝ち越し。3-2で接戦を制し、3年ぶりにインターハイの頂点へ返り咲いた。

その粘り強いチームの中で、最後までゴールを追い続けたのがエースの佐藤ももサロワンウエキ(3年)だった。決勝の2得点はいずれもヘディング。どちらも、迷いのないダイビングヘッドでネットを揺らした。

1点目は前半12分。左サイドを駆け上がった近藤花(3年)が、左足で鋭いクロスを送り込む。佐藤は相手DFの背後にすっと入り込み、頭から飛び込んでゴールネットを揺らした。

「練習のときから、花の左足のクロスは本当にいいボールが来るってわかってました。だから、花が持った時には走り込もうって思ってました」(佐藤)。

近藤花は今大会、もともと右サイドバックとして出場していた。鹿島学園との2回戦で途中から左に回ると、そこからゴール前へ質の高いボールを何度も送り込むようになる。佐藤との連係もより深まり、準決勝と決勝では左サイドバックで先発。この起用がチームに大きな流れをもたらした。

「近藤花だけじゃなくて、中野梨緒とか牧野生成とか、左利きの選手とは相性がいいなって思ってます。練習のときから“どんどん入れて、どんどん入れて”って声をかけながらやってて、それがこの試合でしっかり出せたと思います」(佐藤)。

2点目は1-2で迎えた後半34分。残り1分という時間帯で、MF村上杏奈(3年)がFW上村真生子(2年)とのワンツーで右サイドを抜け出す。村上がゴール前へクロスを送ると、佐藤が再び頭から飛び込み、ボールはゴールへ吸い込まれた。

「センターバックの背中を取りながら、ボールが来たときには前へ入れるように意識しています。しっかり枠へ飛ばすために体を倒すというか、ダイビングヘッドのイメージが自分の中にあるので。ダイビングヘッドの感覚は、もう自分のものにできていると思います」(佐藤)。

ダイビングヘッド2発のインパクトは、それだけでは終わらなかった。佐藤はゴールを決めたあと、カメラマンが並ぶエリアへ駆け寄り、自分をバズーカーに見立てたパフォーマンスを披露した。

インターハイ 決勝(2025.8.2)

試合後、佐藤は真っ先にこう振り返った。

「覚えてることといえば、“走りきろう”ってずっと叫んでいたことです。戦術や技術よりも、球際とか走り勝てるかが勝負になると思っていました。自分の得点もそうですけど、最後の最後までゴール前に走り込めたことが、勝ちにつながったと思います」。

得点の話になると、佐藤はまず守備について語った。

「サイドの村上杏奈とかが起点になってくるだろうというのはわかっていました。それに、相手の5番はキックがうまくて、8番はドリブルで持ち込んでくるタイプ。そこに対してしっかり潰しに行くというか、起点を作らせないことを意識していました。そこがハマったときに、自分たちの攻撃のスイッチも入ったと思います」。

チームは幸先よく先制したが、追加点を奪えずに前半27分と後半4分に連続失点。常葉大橘に逆転を許した。それでも苦しい時間帯に、前線からの守備やセカンドボールへの反応で相手の流れを断ち切る。守備のスイッチを入れる役割を担っていたのは、センターフォワードの佐藤だった。

攻守にわたってチームを引っ張り続けた佐藤。誰よりも走り、誰よりもゴールを追い続けた3年生の夏は、まさに彼女の大会だった。

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