
2026年1月3日
第34回全日本高校女子サッカー選手権 準々決勝
鹿島学園 5-0 日ノ本学園
(40分ハーフ)
得点:[鹿島学園]オウンゴール(32分)、大林亜未(44分)、渡辺奈緒(63分)、竹田朱里(72分)、津久井桜(80+2分)
第34回全日本高校女子サッカー選手権は1月3日、三木総合防災公園で準々決勝が行われた。鹿島学園(茨城)は日ノ本学園(兵庫)と対戦。5-0と快勝を飾り、チーム史上初めて準決勝進出を果たした。
この試合で強い存在感を放っていたのが、FW宿野部夏澄(3年)である。得点こそなかったが、攻撃の起点として何度もチャンスを生み出した。
立ち上がりからボールを握った鹿島学園だったが、前線にうまくボールが入らず、決定機をつくれない時間が続いた。それでも前半32分、宿野部がこの状況を打破する。
左サイドをドリブルで突破して折り返すと、ゴール前で待っていたMF渡辺奈緒(3年)が左足を振り抜いた。このシュートが相手のオウンゴールを誘い、鹿島学園が先制する。
1-0で前半を折り返した鹿島学園は、後半4分にもスコアを動かす。宿野部が右サイドから相手の包囲網を潜り抜け、ゴールへ向かって仕掛けた。ペナルティエリアに差し掛かったところで止められたが、このプレーでコーナーキックを獲得する。
そのコーナーキックから追加点が生まれた。キッカーのMF大林亜未(3年)のボールはファーサイドへ流れ、これを拾ったDF津久井桜(3年)がゴール前へ折り返す。走り込んできた大林が頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。
さらに後半23分、鹿島学園に3点目が生まれる。中央でボールを受けた宿野部がドリブルで仕掛ける。この突破は相手DFに止められたが、続くスローインからのクロスを渡辺が押し込み、ゴールを奪った。
この試合で宿野部に得点やアシストはつかなかった。それでも、先制点、追加点、そして勝負を決定づける3点目と、いずれも彼女の仕掛けが起点になっている。ボールを持てば常に2人、3人が寄せる。相手の警戒を一身に受けながら、攻撃の流れを引き寄せ続けた。
★★★
今大会で抜群の存在感を放っている宿野部だが、今シーズンは怪我に悩まされてきた。夏のインターハイには出場したものの、万全のコンディションではなかった。2回戦では、のちに優勝する大商学園に2-3で競り負ける。惜しいシュートも放ったが、ネットを揺らすことはできなかった。
そして迎えた今大会。2回戦で顔を合わせたのは大商学園だった。インターハイで敗れた相手との、リベンジマッチである。
0-0で迎えた後半30分、大商学園のコーナーキックをしのぐと、そのままロングカウンターを発動する。途中出場のFW山本彩加(3年)がドリブルでゴール前まで運び、シュートを放つ。このボールは相手GKに阻まれたが、こぼれ球に素早く反応した宿野部が押し込んだ。これが決勝点となり、鹿島学園が1-0で勝利。”夏冬連覇”を狙った大商学園を初戦で退けた。
怪我を乗り越え、チームをベスト4へ導いた宿野部に、試合後話を聞いた。
(インタビューは写真の下へ↓)
- 第34回全日本高校女子サッカー選手権 2回戦(2025.12.30)
- 第34回全日本高校女子サッカー選手権 2回戦(2025.12.30)
インタビュー
ーーチームとして初めてベスト4入りしました。感想を聞かせてください。
インターハイも含めてベスト4は初めてでした。「新しい景色を見に行こう」と監督にも言われていて、みんなで強い気持ちを持って試合に挑みました。こうして全員で点を取って勝てたことが本当に良かったです。
ーー大商学園のような厳しい相手もいましたけど、ここまで来れるという自信はありましたか。
ここまで来られるとは想定していませんでした。でも、一戦一戦全力で戦えば必ず結果はついてくると思っていたので、すごく嬉しいです。
ーーーベスト4を目標に設定した理由は何かありますか。
「全国制覇」と口で言うのは簡単だと思います。でも、自分たちは上ばかりを見ないで、目の前の試合に謙虚に取り組んでいきたいと思っています。「一戦一戦を大事に」ということを、みんなで大切にしながらやっています。
ーー試合は完勝だったと思いますが、振り返ってどんな印象ですか。
自分もこんなに点が入るとは思っていませんでした。でも、チーム全員で守って、全員で攻めて、チャンスを逃さずに決めきれたことが今日の勝因だと思います。
ーーこんなに点が入るとは思わなかったということですが、今日はどのようなゲームを想定していましたか。
日ノ本さんもすごくレベルが高く、全国優勝も経験しているチームです。引くつもりはなかったですけど、守る時間が長くなると監督からも言われていました。でも、自分たちで流れを変えて、攻撃の時間を長くできたことが良かったと思います。
ーー攻撃の時間を長くできた要因は、実際にプレーしていてどのあたりにあったと思いますか。
自分たちがボールを持てる時間が長かったことが良かったです。後ろからしっかりつなぐことや、コンビネーションは今年一年すごく練習してきました。自分たちは攻撃も好きなので、自分たちの良さを出せたと思います。
ーーセカンドボールをしっかり拾えていた印象があります。チームとしても意識していましたか。
はい。走ること、切り替え、予測することは意識していました。ベースの部分で相手より上回らないと勝ちはついてこないと思っていたので、セカンドボールやルーズボールは絶対に譲らないという気持ちで全員がプレーしていました。
ーー先制点や後半開始直後の得点など、良い流れでゴールを重ねて試合を優位に進められたと思います。
前半のうちに1点を決められたことは本当に大きかったです。後半はフレッシュなメンバーが入って、そこから得点できたことも大きかったと思います。
ーー日ノ本はいつも後半からボールをつなぎ始めることが多いです。鹿島学園としては後半に入るにあたって、何を一番意識していましたか。
前半は自分たちが多くボールを持てたので、後半は相手が前からプレッシャーをかけてくるかもしれないと監督からも言われていました。頭を使って判断しながらプレーできるように、みんなで声を掛け合いながら修正していきました。
ーー前半はある程度つなげていたもののなかなか崩しきれず、ボールが入らない場面もあったように見えました。難しさはありましたか。
自分たちはビルドアップを大事にしているので、相手のラインを越えていこうという話をしていました。でも、そのラインを越えるのが難しくて、焦りもあってなかなか突破できませんでした。そこで長いボールも入れながら前進しようという話になり、相手のラインも下がってきたので、後半はうまくつなげたかなと思います。
ーー大商学園戦も見ましたが、押し込まれる時間帯でも粘り強く守れるし、自分たちの時間になれば攻撃的にもいける印象があります。
中盤やバックラインの選手も含めて全員が賢くて、「しっかり判断しよう」と今年一年言われてきたことを、この大舞台でも落ち着いてできていると思います。
ーーU-18関東女子サッカーリーグでは、クラブの強豪チームとも対戦しています。そこで身についたことはありますか。
メニーナやレッズもすごくレベルが高くて、自分たちも「絶対に勝とう」という気持ちで臨んでいます。でも、メニーナに大敗してしまったり、前期・後期を通して改善しきれなかった部分もあります。そこは改善しないといけなかったと思っていますが、選手権でしかもう返せないので、最後は全力でやっています。
ーーそうした経験の中で、積み上げられたものやチームの糧になっていることはありますか。
しっかりベースからやるという基本的なところです。止める・蹴るの技術レベルを高めていけば全国でも通用すると思うので、基本的なところを全員で忠実にやってきました。
ーー2回戦の大商学園戦ではゴールを決めました。得点シーンを振り返ってください。
インターハイは怪我をしながら出たんですけど、2-3で負けてしまいました。その悔しさがずっと残っていて、夏から冬にかけてすごく練習してきました。ああいう形で自分のところにこぼれてきて、押し込むだけだったんですけど、決められて良かったです。チームを勝利に導けたことが本当に嬉しかったです。
ーー次の試合に向けていかがですか。
自分たちはチャレンジャーなので、どちらのチームもすごくレベルが高いですが、しっかり自分たちのサッカーをして、優勝を目指して頑張りたいです。

