[親善試合]敗戦にも収穫あり、上海との親善試合で見えた修徳の成長の兆し

修徳高校がU-16上海サッカー協会女子選抜(以下、U16上海女子)を迎えたフレンドリーマッチが、3月7日ににいじゅくみらい公園運動場で行われた。試合は開始早々に上海が先制。修徳もすぐに追いついたが、その後に得点を重ねた上海が4-1で勝利を収めた(試合は40分ハーフ)。

ビハインドでも怯まず、倉田が同点ゴールを演出

U16上海女子は、上海市サッカー協会に所属するチームから選ばれた16歳以下の選抜チームである。遠征のために急ごしらえされた即席チームではなく、4月に開催される全国大会を見据えた本気の布陣。昨年はこの大会で優勝しており、今遠征ではノジマステラ神奈川相模原アヴェニーレや湘南ベルマーレとも対戦。いずれもゴールラッシュで圧勝している(修徳戦後には十文字に勝利、メニーナに敗北)。

試合は事前の予想とは異なる展開となった。U16上海女子が前線からプレッシャーをかけ、ショートカウンターを狙う展開が予想されたが、蓋を開けてみれば逆だった。ビルドアップを図るU16上海女子に対して、修徳がラインを押し上げながら前からプレスをかけていく。

試合が動いたのは開始早々の3分。左スペースを突いたU16上海女子がミドルシュートを決めて先制する。ラインを押し上げながら相手DFラインにプレスをかけようとしていた修徳は、背後のスペースを突かれてしまった。

それでも修徳はすぐさま反撃に出る。15分、自陣でボールを受けたDF倉田こはるが振り向きざまにロングフィード。これに反応したFW宇田川果歩が抜け出し、GKとの1対1を制してゴールネットを揺らした。

「左に進んでて出そうかなと思ったんですけど、なんか直感的にターンしちゃって、そしたらたまたま走ってくれてたのが見えて、チャレンジしてみたらうまくいったみたいな感じです。自分のパスが通ったのは少し安心しました」と、ゴールを演出した倉田は自身のプレーを振り返った。

試合を振り出しに戻した修徳だったが、前半終了間際の34分にコーナーキックのこぼれ球を押し込まれ再びリードを許す。さらに後半開始直後の43分にはミスから追加点を与え、62分にも失点。1-4での敗戦となった。

同点ゴールをアシストした倉田こはる。ドリブルで相手を振り切り、ロングフィードを放った。

 

「やれるかも」――身体差の中で得た感触

キャプテンの倉田は、「身体能力ですごい差を感じた」と、相手の印象を口にする。特にスピードとフィジカルの強さには驚かされたという。それでも、試合が進むにつれて「思ったより戦えている」と感じ始めたという。

「最初はどんどん前に蹴っても簡単にみたいな感じだったんですけども、思ったより自分たちができるんじゃないかっていうのをハーフタイムにも話していました」と、手応えを感じながら試合に臨んでいたという。

ハーフタイムには「公式戦じゃないので、できることはチャレンジしてみよう」と声をかけ合い、気持ちを新たに後半に臨む。立ち上がりにミスから失点するが、その後は少しずつ落ち着きを取り戻しながらプレーする。ハーフタイムに選手を総入れ替えした相手と比べて体力的には厳しかったが、決定的なチャンスをいくつも作っている。

「あまりない経験で、どうなるかわからなかったですけど、勝てないところもいっぱいあった。もっと試合中に改善できたところもあったと思うし、結果としても内容としても悔しかったです」と倉田は悔しさを滲ませていた。

体格差はあったが、出来ることを探しながら流れを引き寄せていった。

 

結果以上に確かな手応え、冬に向けて進化する修徳

2月に行われた東京都高校新人戦決勝では、十文字に1-3で敗れた。試合から1ヶ月が経ったが、倉田は当時をこう振り返る。

「このチームでの試合経験が少ない中、結果はすごい悔しかったんですけど、できるところも見えてきた。本当はもっとやられると思ってたんですけど、あの決勝をきっかけにちょっと光が見えたというか、もしかしたら自分たちやれるんじゃないかと思ったきっかけの試合。負けちゃったけど、よかったんじゃないかなと思ってます」。

スコアレスで前半を終えるなど、序盤は十文字の攻撃をしっかりと抑え込んだ。後半に入って3失点を喫したが、宇多川が一矢報いるゴールを挙げている。敗戦という結果にはなったものの、随所に前向きな材料が見られる試合だった。

まだ結果には表れていないが、U16上海女子戦でも十文字戦でも選手たちは確かな手応えを感じている。冬の選手権までにチームをきっちりと仕上げてくると定評のある修徳。少しずつピッチで表現できることを増やしながら、成熟したチームを作り上げていくことは間違いない。今シーズン、どんなチームへと成長を遂げるのか、目が離せない。

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